「はうなぎが高い」。そう思って、毎年その日に買っていませんか。
統計を見ると、7月の小売価格はほとんど上がっていません。 上がっているのは値段ではなく、買う人の数のほうです。
総務省の小売物価統計調査で「うなぎかば焼き」の価格を月別に並べると、7月は年平均とほぼ同じ水準です。一方で家計調査を見ると、7月だけで年間の支出の3分の1以上が集中しています。
つまり丑の日に起きているのは、値上がりではなく行列です。だとすれば、気にすべきは値段より受け取りと温め方になります。ここを外すと、いくら良いものを買っても台無しになります。

丑の日に増えるのは値段ではなく、買う人の数です
こんな方に読んでほしい記事です
丑の日だから今日買わなきゃと、毎年あわてている
通販のうなぎをそのままレンジにかけて、固くしてしまった
「国産」と書いてあれば安心だと思っている
を受け取り損ねたことがある
二の丑があることを知らない
この記事の前提
価格は総務省・農林水産省・東京都中央卸売市場の公的な統計をもとにしています。温め方については公的な指針がありません。この記事では専門店・メーカーの公式説明で一致している内容だけを扱い、意見が割れている点は割れていると書きます。 最終的には、買った商品のパッケージの指示が優先です。
丑の日って、その日を過ぎるとうなぎが安くなりますよね。
卸売の値段はそうです。 東京都中央卸売市場の統計を10年分ならすと、7月の単価は年平均より2割ほど高く、8月には1割安まで下がります。7月から8月への下落は、この10年で1度も外れていません。
じゃあ、スーパーの値札も下がっているはずですよね。
それが、あまり動いていないんです。 小売の統計だと7月と年平均の差は1%台。値段で悩む意味は、思ったより小さいということです。
土用の丑の日はいつ?年に2回ある年がある
決まり方
「土用」も「丑」も、それぞれ別のカレンダーです。その2つが重なった日が土用の丑の日です。
| ことば | 中身 |
|---|---|
| 土用 | 立春・立夏・立秋・立冬の直前の約18日間。夏の土用は太陽黄経117度から立秋の前日まで |
| 丑の日 | 日に12日周期で割り当てられる十二支が「丑」の日 |
土用は18日か19日あります。丑は12日ごとに巡ってきます。18〜19日のあいだに、12日周期の丑が2回入ることがある。 これが「二の丑」です。
二の丑がある年は、半分以上
2001年から2050年までの50年でみると、二の丑がある年は29年。珍しい現象ではありません。「今年は2回ある」と言われて驚く必要はなく、むしろ半分以上の年が2回です。
これからの日付
| 年 | 一の丑 | 二の丑 |
|---|---|---|
| 2027年 | 7月21日(水) | 8月2日(月) |
| 2028年 | 7月27日(木) | ― |
| 2029年 | 7月22日(日) | 8月3日(金) |
| 2030年 | 7月29日(月) | ― |
| 2031年 | 7月24日(木) | 8月5日(火) |
| 2032年 | 7月30日(金) | ― |
日付の根拠
国立天文台の暦計算室が公表している・土用入りの日時から算出しています。2027年までは官報に掲載された「暦要項」と一致を確認しました。2028年以降は暦要項がまだ発表されていない(毎年2月に翌年分が出ます)ため、同じ国立天文台の長期計算値にもとづく計算値です。
二の丑を知っていると、何が変わるか
予約と受け取りの日を選べます。
一の丑に集中するのは、うなぎ屋の行列だけではありません。通販の発送も、宅配便の混雑も、同じ日に寄ります。 二の丑がある年に一の丑を外せば、そのどれもが緩みます。
二の丑という言葉は聞いたことがありますが、いつなのか知りませんでした。
半分以上の年にあります。 たとえば2027年は7月21日と8月2日の2回。ここで8月のほうを選ぶと、店も配送も空いています。
味は変わらないんですか。
同じものです。養殖うなぎは加温して育てているので、通年で出荷されています。 「7月に採れたうなぎ」というものが、そもそも無いんです。
値段:上がっているのは「買う人の数」
1月〜5月小売価格は年間を通してほぼ横ばい
6月新仔(その年に育てた若いうなぎ)が出始める
7月買う人が集中する。卸売単価は年平均より2割高い
8月卸売は7月比で1〜3割安。この10年、例外なく下がっている
9月〜12月卸売は年内でも安い水準。10〜11月が底
小売の統計を月別に並べてみる
総務省の小売物価統計調査は、「うなぎかば焼き(長焼き・並、100gあたり)」の価格を毎月調べています。この品目が調査されているのは47市(都道府県庁所在市46と東京都区部)です。2024年のその47市の単純平均を並べると、こうなります。
| 月 | 100gあたり(47市の平均) | 位置づけ |
|---|---|---|
| 5月 | 1,490円 | 年内でいちばん高い |
| 7月 | 1,487円 | 丑の日がある月。5月より安い |
| 1月 | 1,485円 | |
| 8月 | 1,459円 | 丑の日の翌月 |
| 11月 | 1,439円 | 年内でいちばん安い |
年内の振れ幅は3.6%しかありません。 7月は年平均比で+1.2%。47市のうち、7月が単独で年内最高値だった市は5つだけ(京都・山形・広島・新潟・長野)で、7月が単独で最安だった市はゼロでした。東京都区部にしぼって2019年から2025年までを見ても、7月が年内で最も高くなった年は一度もありません。
この数字の出どころ
総務省は「うなぎかば焼き」の月別の全国平均を公表していません。 公表されているのは市ごとの価格と東京都区部の価格です。上の表は、この品目が調査されている47市の値を当サイトで単純平均したものです(人口で重みづけはしていません)。<br>なお大分・津・甲府の3市は12か月すべて同額のため、7月が最高でも最安でもあるタイになります。同額を含めて数えると「7月が最高=8市」「最安=4市」です。
ただし、この統計が捉えていないもの
この調査はあらかじめ決めた銘柄を、決まった店で調べる方式です。そのため「7月は売り場の主力が高いほうの大サイズに入れ替わる」といった品ぞろえの変化は映りません。 また月内のどの日に調べているかは公表されておらず、丑の日当日の店頭を捉えているかは不明です。「絶対に上がらない」ではなく、「統計上は上がっていない」と受け取ってください。
買う人の数は、はっきり増えている
同じ総務省の家計調査(うなぎのかば焼き・外食を除く)を見ると、こちらは劇的です。
| 2025年 | 1月 | 6月 | 7月 | 8月 | 11月 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1世帯の支出 | 90円 | 272円 | 934円 | 294円 | 106円 |
| 買った世帯(1万分比を%に換算) | 4.4% | 10.3% | 27.1% | 11.5% | 4.6% |
7月だけで年間支出の34.3〜38.3%(2020〜2025年)。1世帯の年間支出は2,471〜2,860円ですから、多くの家庭にとって、うなぎは年に1回の買い物ということになります。
しかもこの集中は強まっています。 2002年は7月の構成比が23.5%でしたが、2020年代は34.3〜38.3%です。
卸売はどう動くか
| 月 | 蒲焼うなぎの単価 | 取扱数量 |
|---|---|---|
| 6月 | 104 | 151 |
| 7月 | 118 | 308 |
| 8月 | 90 | 105 |
| 10〜11月 | 86〜88 | 52〜56 |
東京都中央卸売市場の2016〜2025年の10年平均(年平均を100とした指数)です。7月に数量が3倍に膨らみ、単価も2割上がる。 そして8月には落ちます。
7月から8月にかけての単価下落は、この10年すべての年で起きています(下げ幅は14〜35%)。
「安く買うなら8月以降」は卸売の話
卸売水準では10月・11月・1月が最安です。ただし小売がそれに追随する保証は、統計上ありません。 実際、卸売が2割高い7月に小売がほとんど動いていない、という食い違いが起きています。期待しすぎないほうが安全です。
卸が下がっているのに、お店の値札が下がらないのはなぜですか。
理由は統計からは分かりません。 丑の日に目玉商品として利益を削って出している、調査している銘柄と売り場の主力がずれている、といった説明はできますが、どれも確かめられていません。
じゃあ、いつ買えばいいのか分からないですね。
値段で選ぶ意味が小さい、というのが答えです。 差が1%台なら、確実に受け取れて、ちゃんと温められる日を選ぶほうが、よほど結果が変わります。
「国産」の意味は、たぶん思っているのと違う

養殖池に入る稚魚は、今も実質すべてが天然ものです
稚魚は輸入でも「国産」になる
生きたうなぎ(活鰻)の原産地は、いちばん長く育てた養殖場がある都道府県で決まります。したがって——
海外で採れた稚魚(シラスウナギ)を輸入して日本で育てれば、「国産」と表示できます。 これは抜け道ではなく、ルールどおりです。
実際、2026年漁期に養殖池へ入れられた16.6トンのうち、5.9トン(約36%)が輸入されたシラスウナギでした。「国産うなぎ」のかなりの部分は、海外由来の稚魚から育っています。
そもそも、うなぎの完全養殖は実用化されていない
卵から育てて成魚にするは2010年に世界で初めて成功していますが、量産の技術はまだ確立していません(水産庁自身が「実用化されていない」と明記しています)。人工の稚魚は1尾あたり約1,800円、天然の稚魚は180〜600円。人工の稚魚は令和5年に年間数万尾を生産できるところまで来ましたが、養殖池に入る稚魚は、今も実質すべてが天然ものです。
逆に、加工地は原産地にならない
中国産の蒲焼きを日本で小分けして詰め替えても、「国産」にはなりません。
消費者庁のQ&Aは、輸入後の国内での加工が「実質的な変更をもたらしていない」場合は輸入品として原産国名の表示が必要、としています。そして小分けは実質的変更にあたらないと、まさに「うなぎの蒲焼きをバルクで仕入れて小分けする」という例で説明されています。
また、うなぎ加工品(蒲焼き)は原料原産地表示が個別に義務づけられた品目です。パッケージには原料のうなぎがどこのものか、必ず書かれています。
過去に実際に起きた不正
2008年、農林水産省は「里帰りうなぎ」と呼ばれる取引を公表しました。輸入した活鰻に日本・台湾での飼養期間の書類を整えるだけで国産と伝達していたもので、輸入業者が事実確認を一切行わずに証明書を発行していたとされ、JAS法違反と判断されています。2022年にも、鹿児島県大隅産以外(鹿児島県産・宮崎県産・福岡県産)のうなぎを「鹿児島大隅産」と表示して38,666尾(約6,988kg)を販売した事案で、九州農政局から食品表示法にもとづく指示が出ています。表示は守られる前提で読まないこと。
天然が獲れるのは、夏ではない
「天然うなぎ」を夏に探すのは、二重に筋が悪い話です。
| 思っていること | 実際 |
|---|---|
| 天然の旬は夏 | 産卵のため川を下る「下りウナギ」の時期は10月〜翌3月。「旬(食味)が秋冬」と書いた公的資料は見つかりませんでした |
| 探せば買える | 2025年の天然の漁獲は54トン。供給量の約0.08%(概数値) |
| 天然のほうが安全 | 広島・宮崎は10月1日〜翌年3月31日、静岡は10月1日〜2月末日、内水面漁場管理委員会の指示で採捕が禁止されている |
天然の漁獲量は1915年から1943年まで3,000〜4,000トンで安定していました。ピークは1961年の3,387トン。1970年に3,000トンを割り、2015年以降は100トンを切っています。過去最低は2024年の53トンです(2022年59トン、2023年55トン、2025年54トン)。
夏に出回るのは、養殖の「新仔」
養殖は加温して育てるため通年出荷ですが、土用の丑の日に向けて、その年の漁期はじめに池入れした「新仔」を出荷するやり方もあります。愛知県の水産試験場によれば、新仔は例年6月頃に初出荷され、約5ヶ月半という短期間で出荷サイズまで育ちます。「新仔うなぎは体が青色に輝き、その身は柔らかく脂ものって絶品です」とのこと。夏らしいうなぎがあるとすれば、これです。
産地
| 都道府県 | 2025年の生産量(概数値) |
|---|---|
| 鹿児島 | 7,342トン |
| 愛知 | 4,279トン |
| 宮崎 | 3,128トン |
| 静岡 | 1,827トン |
| その他 | 981トン |
| 合計 | 17,557トン |
この数字は2026年5月に公表された概数値で、確報は2027年2月に出ます。前年は概数値から確報で約3%上方に改定されました。
「国産」なら国内で生まれ育ったものだと思っていました。
稚魚がどこで採れたかは、原産地の判定に入りません。 ルールとしては「いちばん長く育てた場所」です。3分の1以上が輸入の稚魚から育っている、というのが現状です。
それは、ごまかしているわけではないんですね。
適法です。 ごまかしになるのは逆で、中国産の蒲焼きを日本で詰め替えて「国産」と書くほうです。こちらは表示違反になります。
温め方:やってはいけないことのほうが確実

湯煎が第一候補。ただし時間をかけすぎないこと
最初にお断りしておきます
うなぎの温め方について、公的機関の指針はありません。 以下は専門店・メーカーの公式説明のうち、複数社で一致している内容と、「やめてください」と名指しで書かれている内容をまとめたものです。買った商品のパッケージの指示が最優先です。メーカーによって指示が食い違うため、そこを無視すると意味がありません。
手順(多くの公式説明で一致している部分)
①湯煎|沸騰させてから、真空パックの内袋のまま4〜6分程度(商品の指示が優先。厚みのあるものほど長め)
②レンジを使うなら|袋から出す(例外あり)。500Wで長焼1分30秒〜2分30秒
③仕上げ|グリル・トースターは単独で使わず、湯煎やレンジの後に数十秒〜2分
④タレ|加熱がすべて終わってからかける
⑤凍ったまま|事前解凍は必須ではありません
やってはいけないこと
こちらのほうが、はっきりしています。
| やってはいけないこと | 誰が言っているか |
|---|---|
| 湯煎で10分以上 | 大五うなぎ工房「身から脂が溶け出して分離」 |
| 袋を鍋のフチや火に触れさせる | 大五/観光荘/鰻楽(各公式) |
| タレ・山椒の小袋を熱湯やレンジに入れる | 大五うなぎ工房 |
| 真空パックのままレンジ・オーブン・グリル | 浜名湖養魚漁業協同組合 |
| 凍ったまま・冷たいままグリルやトースター | 大五うなぎ工房 |
| 常温で解凍してからレンジ | 大五うなぎ工房 |
| レンジの自動加熱(オート)機能 | 大五うなぎ工房 |
| 膨張したパックを食べる | 神戸市(公的) |
| 要冷蔵の真空パックを常温で放置 | 厚生労働省(ボツリヌス菌) |
「タレを洗い流す」はスーパーの蒲焼き向けの技です
よく紹介される「タレを洗い流してから酒をふって温める」という方法は、スーパーの蒲焼きを想定したもので、通販の真空パック商品の公式手順には一切登場しません。 専門店のなかには真空パック商品について明確に非推奨としているところもあります(「販売店から温め方の案内を受けている場合は、自己流で洗わず、その方法を優先してください」)。産地から取り寄せたものを洗うのは、やめておくのが無難です。
フライパン+酒蒸しは、公式のあいだで意見が割れています
すすめている会社(日の出みりん・日本一・鹿児島鰻)と、はっきり反対している会社(川口水産「うなぎの酒蒸しになってしまいます」)が両方あります。 産地の業者は酒より水が多数派で、「水を2〜3滴」「水を適量」という書き方です。「これが正解」という言い方はできません。
袋が耐熱かどうかは、必ず確認する
メーカーごとに指示が違います。 例えば、ある会社は「湯煎は袋のまま/レンジは袋から出す」、別の会社は「レンジも袋に穴をあけて袋のまま」。どちらも公式です。
- 1調理方法・お召し上がり方の欄
- 2保存方法の欄(要冷凍か、要冷蔵か)
- 3「レトルトパウチ食品」「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」の表示があるか
「真空パックだから常温で置ける」は誤りです
うなぎの真空パックは、ほとんどが要冷凍または要冷蔵で、レトルト食品ではありません。 レトルトは加圧加熱殺菌をしたもので、表示が違います。混同して常温に置くと、ボツリヌス菌のリスクがあります。
子どもに食べさせるときの小骨
ここは公的な根拠があります。 消費者庁が魚の骨の事故を注意喚起しており、事例のひとつが「9歳児:ウナギの骨がのどの奥に垂直に立っていた」です。ほかにも1〜2歳児で全身麻酔や気管切開に至った例が挙げられています。
- 1小さな子どもが食べる魚は、骨を丁寧に取り除く(ほぐす/ピンセットを使う)
- 2箸が使えるようになったら、魚の食べ方を練習する
- 3しっかり噛んで食べる(硬い骨に気づける)
ご飯を丸飲みさせない
消費者庁は「魚の骨がより深く刺さってしまうおそれ」として、ご飯を飲み込ませる対処を否定しています。無理に取ろうとせず、耳鼻咽喉科を受診してください。 ピンセットで取ろうとすると口の中を傷つけます。高齢者については、うなぎを名指しした注意喚起は確認できませんでしたが、消費者庁は窒息一般について「小さく切る」「一度に食べる量を少なくする」「汁物などでのどを湿らせる」を挙げています。
いつもレンジで温めていました。パックのまま。
そこはメーカーの指示を見てください。 袋のままレンジにかけてよい商品と、絶対にだめな商品が両方あります。「うなぎはこう温める」という一般論では決められないんです。
迷ったら湯煎ですか。
いちばん外しにくいです。 ただし10分以上やらないこと。脂が溶け出して、パサパサになります。 それと、タレは最後です。
通販:いちばん失敗するのは「受け取り」

値段より、受け取れる日を先に決めるほうが効きます
クール便は「冷やす箱」ではない
ヤマト運輸の公式説明にこうあります。「保冷輸送(温度を保つ)サービスです。お荷物を冷やしたり凍らせたりする冷却機能はありません」。 さらに「機材の開閉により、庫内の温度が上昇することがございます」とも書かれています。
つまり届いたらすぐ冷凍庫・冷蔵庫に入れることが前提の輸送方式です。
| ヤマト運輸 | 佐川急便 | 日本郵便 | |
|---|---|---|---|
| 冷蔵の温度帯 | 0〜10℃ | 2〜10℃ | 0〜10℃ |
| 冷凍の温度帯 | −15℃以下 | −18℃以下 | 該当サービスなし |
| 不在時の保管 | 3日 | 4日 | 7日 |
| 置き配 | 不可 | 対象外 | ― |
ヤマトのクール便は置き配もコンビニ受取もできません。 保管は3日です。
チルド商品は、不在で失うことがあります
ある専門店の公式ページにはこう書かれています。「冷蔵白焼セット(消費期限5日)に関しましては不在3日の時点で送り主様へ転送させていただきます。再発送はいたしかねます」。丑の日に合わせて注文するなら、受け取れる日を先に決めてから注文する。 これが最大の失敗回避です。
タレが柔らかい=解凍された、ではありません
吉野家の公式説明に「うなぎ蒲焼に添付のタレは糖度が高いため完全に凍結せず、冷凍便でお届けした場合でも、多少柔らかい状態になります」とあります。タレだけ柔らかくても、異常ではありません。
解凍と保存
| やること | 根拠 |
|---|---|
| 常温(自然)解凍は避ける | 厚生労働省「室温で解凍すると、食中毒菌が増える場合があります」 |
| 解凍と冷凍を繰り返さない | 厚生労働省「冷凍や解凍を繰り返すのは危険です」 |
| 再加熱は中心温度75℃で1分以上 | 厚生労働省 |
| 冷蔵は10℃以下、冷凍は−15℃以下 | 厚生労働省・食品衛生法 |
保存期間は商品によって違います。業者が公表している実際の数値を並べると——
| 状態 | 例 |
|---|---|
| 冷凍 | 「出荷日から30日以上(−18℃以下)」「−18℃で製造日を含めて365日」 |
| チルド | 「朝焼き5日/真空パック20日」「冷蔵白焼5日」 |
| 開封・解凍後 | 1〜2日/2〜3日(業者により) |
「冷蔵2〜3日、冷凍1か月」という一般論に根拠はありません
よく見かける数字ですが、公的な裏づけは確認できませんでした。 商品ごとに消費期限・賞味期限が書かれているので、そちらを見てください。 上の表のとおり、冷凍で365日という商品もあれば、チルドで5日という商品もあります。幅が大きすぎて、一般論では決められません。
- 1受け取れる日時を指定できるか。 クール便は置き配できない
- 2冷凍か、チルドか。チルドは不在で返送・再発送不可の場合がある
- 3消費期限・賞味期限の実際の日数
- 4温め方の指示(袋のままレンジにかけてよいか)
- 5原料原産地の表示
丑の日に届くように頼めばいいと思っていました。
その日に家にいられるなら、それでいいです。 ただ丑の日は平日のこともあります。受け取れなかったチルド品は、3日で送り主に戻って、再発送してもらえないことがあります。
それは怖いですね。
だから冷凍のものを、確実に家にいる日に届けてもらう。 これがいちばん安全です。冷凍なら、食べる日は後から決められます。
平賀源内の話は、確かめられていない

「源内が広告を書いた」という話に、江戸時代の出典はありません
「夏に売れないうなぎ屋に相談され、平賀源内が『本日、土用丑の日』と書いて貼らせたのが始まり」——よく語られる話です。
史実として確認できません。
何が確認できないのか
| 言われていること | 実際に文献を見ると |
|---|---|
| 『明和誌』(1822年)に載っている | 源内の名は出てきません。 原文は「近き頃、寒中丑の日にべにをはき、土用に入、丑の日にうなぎを食す、寒暑とも家毎になす。安永天明の頃よりはじまる」。冬(寒中の丑の日に紅を塗る)と夏(土用の丑の日にうなぎ)の2つの習慣が、どちらも安永・天明の頃に始まったと書いているだけ |
| 江戸時代の文献に記述がある | 「源内がやった」と書いた江戸時代の文献は、一つも見つかっていません |
| 源内が広告を考えた | 源内の没年は1780年。 土用の丑とうなぎに関する現存文献は、すべて源内の没後のもの |
国立国会図書館も「江戸時代の発祥とする説が知られる」と紹介にとどめており、断定していません。
ただし、習慣そのものは江戸時代からあります
『明和誌』が「安永天明の頃(1772〜1789年)よりはじまる」と書いているとおり、丑の日にうなぎを食べる習慣が江戸時代に広まったこと自体は確認できます。 分からないのは「誰が始めたか」です。そしてこの俗説がいつ・どこから出てきたのかも、特定できませんでした。
万葉集の歌は実在します。ただし別の話です
大伴家持「石麻呂に我れ物申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻捕り食せ」
万葉集巻十六・3853番、題詞は「嗤咲痩人歌二首」。「夏痩せにうなぎがよい」と詠んだ歌が実在するのは事実です。ただし家持は暦の丑の日を指定していません。 丑の日に食べる習慣が成立した安永・天明期とは、約1000年の隔たりがあります。地続きに語るのは誤りです。
資源の話
「うなぎは絶滅危惧種」と聞いたことがあるかもしれません。事実です。
| 内容 | |
|---|---|
| IUCNレッドリスト | EN(絶滅危惧IB類)。 2014年に初掲載、2020年公表版でも据え置き。判定根拠は「過去24年で少なくとも50%減少」 |
| 環境省レッドリスト | 絶滅危惧IB類(2013年に格上げ) |
| ワシントン条約 | ニホンウナギは掲載されていません。 2025年にウナギ属全種を附属書IIに載せる提案がありましたが、賛成35・反対100・棄権8で否決されました |
| 稚魚の採捕量 | ピークは1963年の232トン。2019年漁期の3.7トンが過去最低で、2025年漁期は14.8トン。2003年以降の平均は約14トン |
数字の読み方に注意
水産庁は稚魚の採捕量について「社会経済的な側面も影響していることに注意が必要」と慎重な書き方をしています。また日本政府はワシントン条約の掲載提案に反対した当事者です。一方で、IUCNの評価に関わった研究者からは「減少の詳細は、調査体制の不備とデータの信頼性の問題から不明のまま」という指摘も出ています。立場によって説明が変わる領域だと理解して読んでください。
流通の透明性は、この数年で大きく変わりました。シラスウナギは2023年12月から特定水産動植物に指定され、2025年12月からは水産流通適正化法の対象になりました。かつては採捕量の推計と池入れ量の差が4割前後に達していましたが、直近の2漁期でほぼ解消しています。
食べないほうがいい、ということですか。
そこまでは言いません。 ただ、養殖池に入る稚魚は今も実質すべてが天然ものです。完全養殖は2010年に成功し、人工の稚魚も年間数万尾までは作れますが、量産はまだ。「今年のうなぎがどこから来たか」を追えるようになってきたこと自体が、ここ数年の変化なんです。
知らずに食べていました。
知っていると、一口目の見え方が少し変わるという程度の話です。年に1回の食べ物ですから、その1回をちゃんと選ぶほうが建設的だと思います。
まとめ:値段より、受け取れる日

年に1回の買い物なら、外さない選び方をしたいところです
要点をもう一度まとめます。
日付
- 土用の丑の日は、半分以上の年で2回ある(2001〜2050年の50年で29年)
- 二の丑を選べば、店も配送も空いている
- 2027年は7月21日と8月2日。2029年は7月22日と8月3日。2031年は7月24日と8月5日
値段
- 7月に小売価格はほとんど上がっていない(2024年で年平均比+1.2%、47市中7月が最高値は5市)
- 上がっているのは買う人の数。7月だけで年間支出の34〜38%
- 卸売の単価は7月に2割高く、8月には、この10年例外なく下がっている。ただし小売がそれに追随する保証はない
選び方
- 「国産」=稚魚も国産、ではない。 池入れの3割以上が輸入の稚魚
- 中国産の蒲焼きを国内で小分けしても「国産」にはならない。 そう表示すれば表示違反
- 天然の旬は秋〜冬。 供給の0.1%未満しかない
- 夏らしいうなぎがあるとすれば、6月頃から出る養殖の「新仔」
温め方
- 湯煎が第一候補。ただし長く加熱しすぎない(脂が流れ出るとメーカーが注意している)
- 袋のままレンジにかけてよいかは、商品によって違う。 パッケージが唯一の正解
- タレは加熱がすべて終わってから
- 「タレを洗い流す」はスーパーの蒲焼き向け。通販品の公式手順にはない
- 常温解凍しない。再冷凍しない(厚生労働省)
受け取り
- クール便は冷やす箱ではない。 届いたらすぐ冷凍庫・冷蔵庫へ
- ヤマトのクール便は置き配・コンビニ受取が不可、保管3日
- チルド商品は不在3日で送り主に返送、再発送なしの場合がある
- 冷凍を、確実に家にいる日に届けてもらうのがいちばん安全
由来
- 平賀源内の話は、史実として確認できない。 江戸時代の文献に記述がない
- 習慣そのものは安永・天明期(1772〜1789年)に広まったことが確認できる
結局、いつ買えばいいんでしょう。
確実に受け取れて、その日に落ち着いて温められる日です。値段の差が1%台なら、そこで悩む意味はほとんどありません。
丑の日じゃなくてもいいんですね。
二の丑がある年なら、そちらのほうが空いています。 それに、うなぎ自体は通年で出荷されているんです。「7月に採れたうなぎ」というものは、そもそも存在しません。
夏の食べ物と行事は、あわせて読むと段取りが立てやすくなります。
- 新米はいつから? — 秋の主役。出回り時期と保存の考え方
- いちごが安いのは何月? — こちらも「旬」と「出回り」がずれている例
- 冷凍庫レンタルはいつ頼む? — 冷凍で届くものを受け止める話
- 7月・8月に読むものは 7月の一覧 / 8月の一覧 にまとめています



